風景は夕闇のおぼろな流れで、その二つが融け合いながらこの世ならぬ象徴の世界を描いていた。
川端康成 雪国
西陽というと少しネガティブな要素になりますが、夕陽が差し込むというと少し趣が出るから不思議。
ちょうどお客様が途切れた刹那で、春の夕陽。少し川端康成の言う風景とは違いそうですが…。
今日は和らかく、華やかに、店内を薄く紅掛に彩り、まさに春夕べ。
春夕べ…秋の陽が落ちる様と比べると、どことなく軽やかでゆったり。宵の過ごし方を考えて、少し気持ちも華やいだり。
枕草子の四季の見立ては「春はあけぼの」、「夏は夜」、「秋は夕暮れ」、「冬はつとめて(早朝)」。
後世の美意識に大きな影響を与えていて、夕景と言えば秋という観念が出来上がっています。
夕景は秋が美しいというセオリーに対して、春の夕暮れの美しさもあるのだと、新たな美意識を表した歌もあります。
「見わたせば山本霞む水無瀬川 夕べは秋と何思ひけん」
後鳥羽院
(見渡したら水無瀬川の流れに山の麓が霞んでめっちゃ綺麗。なんで今まで「夕暮れは秋でしょ」なんて思ってたのか。春もヤバいくらい綺麗。)
訳はテキトーですが、そんなところかと。
夕暮れなら秋というセオリーに囚われず、春の夕景の美しさに気づくというのはなんとも格好のいいこと。
コーヒーは一部ですが、少しセオリーに囚われ過ぎている気がします。
これが本当のコーヒーだよ、分からないの?なんて格好良い感じにしているのは、なんとも胡散臭い。
コーヒーは自由…ただ生とか焦げとかそういうレベルの話ではなく…色々あって良いと思います。
出来うる限りで美味しいコーヒーになるよう工夫しています。
明日は夜の日。15時から21時まで。お待ちしております。
#unit_coffee_stand