2026.07.25

.雨の日は、世界の輪郭が曖昧になる。霧は遠くを隠し、雨は境界を溶かしていく。そんな景色を見たくて、昨日は少しだけ車を走ら...


雨の日は、世界の輪郭が曖昧になる。

霧は遠くを隠し、雨は境界を溶かしていく。

そんな景色を見たくて、昨日は少しだけ車を走らせた。

葉を打つ雨。

湿った土の匂い。

水滴をまとった緑。

時間まで、少しゆっくり呼吸しているようだった。

見えなくなるものがある。

その代わりに、晴れた日には見落としてしまうものが、静かに姿を現す。

今日は、そんな静かな一日になると思っていた。

けれど、雨の中、この場所を訪れてくださる方がいた。

一杯のコーヒーを囲む時間。

交わされる何気ない言葉。

開いては閉じる、少し重い扉の音。

気づけば、曖昧だった一日に、少しずつ輪郭が戻っていた。

夜、遠くで花火の音がした。

出先で、ふと外を見る。

ビルの隙間、雨と煙の向こうに、今年最初の花火がぼんやりと浮かんでいた。

輪郭は曖昧で、色も滲んでいて。

けれど、不思議なくらい美しかった。

「見られてよかったですね。」

その一言だけが、雨に溶けることなく、静かに残った。

雨の日は、世界の輪郭が曖昧になる。

けれど、輪郭が曖昧な日だからこそ、偶然出会える景色がある。

明日はお休みです。

また月曜日に。
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