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2020.08.12

「教育実習」考

 今朝の全国紙一面トップに「教育実習『なし』も容認」という見出しの記事が掲載されました。今年はさまざまな事がイレギュラーな状況で進行していますので、その一環と思えばさもありなん、なのですが、やはり、同業種の事となるといろいろと考えてしまいます。

 私は「教員養成系の教育学部」の出身なのですが、先輩からはずっと「自分が教員としてやっていけるかどうかは教育実習で分かる」と言われてきました。地方の国立大学で、教育実習のための「附属校」があり、そこの先生方は、いわば、実習生を鍛えるプロです。さまざまなプレッシャーがあり、かなり緊張度の高い教育実習でした。

 教育実習のメインイベントは「研究授業」です。担当教官はもとより、同じ教科の先生方や他の実習生など、教室が参観者であふれかえる中で授業を行います。ピークは授業中ではなく、放課後の「研究討議」です。授業の計画や実施結果についてに自分でコメントし、次に、参観者一人ひとりから「評価」があります。オブラートにくるんだ言葉などは許されない雰囲気で、実習生同士でも、よい点よりもむしろ改善点を指摘するように指導されており、簡単に言えば、ひたすら「ダメな点」を言われるわけで、女子の実習生などはほぼ100%涙をこぼしていたように思います。

 それでも、指導教官からは「教育実習を越える授業は一生できないかも」と言われました。当時は意味がよく分からなかったのですが、今思えば、1コマの授業にかける熱量のことなのだと感じます。研究授業は同じクラス・教科の実習生全員で作り上げます。児童生徒が帰ってから、学校が閉まるまで居残りし、閉まった後はファミレスや誰かの部屋に場所を移し、みんなで意見を出したり、教材を作ったりしながら当日を迎えます。本業となってからは、もちろん、1コマにそんな時間をかける余裕はないので、効率よく一定レベルの授業をしなければなりません。経験を重ねるにつれ、当然、授業技術は上がってくるのですが、あのときの研究授業にかけた時間と熱さは別物です。

 また、教育実習は初めて学校を「職場」としてとらえる機会でもあります。当然のことですが、自分が思っていたのとは違う側面が見えます。いちばんは「授業」や「児童生徒との関わり」以外の仕事の多さです。書類作成やお金の管理など、教育を受ける立場からは分からなかった仕事が(わずかながら)見えます。自分があこがれていたようなことばかりではないと気づかされます。

 最近は「教師聖職者論」も薄まってきた感はありますが、それでも「児童生徒の成長」を目的とする「教員」という職業は他の業種とはかなり質の違ったものであると感じます。インターンシップやOJTなど、職業実習の必要性については言うまでもありませんが、特に教員志望者の「教育実習なし」はとても複雑な思いです。もちろん、文部科学省としても、大前提は「実習あり」と考えているということですし、万が一、ない場合でも大学で代替措置をとるということですので、状況が前向きに進んでいくことを期待したいと思います。

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