新着情報
2020.01.10
スマホ考
昨年末、PISA(OECDによる国際的な学力到達度調査)において、日本の15歳児の読解力が、前回の8位から15位に下がったという記事が報道されました。
PISA型テストの性質や各国の取り組み方においても様々な状況の違いがありますので、このことが一概に日本の子どもたちの「学力低下」ととらえるのは早計かとは思います。しかし、このことを「スマホ」と関連させる識者は少なくないようで、私自身にも感じるところがあります。単にスマホをいじっている時間が長いという以上に、もっと本質的な問題を抱えているように感じます。
中学生や高校生の頃、悩みを抱え、一晩中、考え続けた…というような経験は」どなたでもお持ちなのではないでしょうか。勉強のことや恋愛・友人のこと、自分の生き方について…答えのない問題が頭の中を巡っていたあの時間。携帯・スマホがない時代、誰かと話したくても、誰が出るか分からない「家電」にはかけにくく、まして、夜中ではどうしようもありません。ひたすらに、自分と向き合った時間だったのだと思います。そういう中で自分という人間の基盤が作られていったのではないでしょうか。
しかし、現在はスマホによって、いつでもどこでも誰かとつながることができます。そしてその相手は、自分に都合の良い答えを与えてくれることも多いように思います。その結果、自分で答えを出さなくともいいし、嫌な思いをしなくてもすむ。つらい現実から目を背け、問題をうやむやにしてくれるツールがスマホだとしたら恐ろしいことだと思います。昨今の犯罪の中には、あまりに幼稚な人間性が感じられるものが多くあります。その原因がスマホだ、というのは言い過ぎかもしれませんが。
文明は発展し続け、逆戻りは不可能でしょう。しかし、問題に真剣に取り組む姿勢は不可欠だと思います。「今の若い者は…」という言い回しはエジプト時代からあったそうです。このことは、いつの時代でも世代間にはギャップがあり、かつ、人類はその時々の問題を乗り越えて発展してきたことを意味すると思います。スマホ問題にも何らかの方向性が見いだされ、子どもたちの未来が作られていくと信じたいと思います。
福島成蹊高等学校ホームページ→http://www.f-seikei.ed.jp/hs/
福島成蹊中高一貫ホームページ→http://www.f-seikei.ed.jp/jhs/

いいね!

いいね!
3